2008年12月19日
取引先の倒産危険情報をいち早く掴んだあなたは、取引先へ飛んでいったとします。
そこには自社商品はもうほとんどなく、
自社以外の商品が置いてあったとします。
営業マン : 『社長、このたびは大変でしたねぇ。
うちの納入した商品はもう残っていないみたいですね。
あそこにある品物をもらっていっていいですか?』
社長 : 『あんたには世話になったしなぁ。もっていってくれていいよ』
営業マン : 『ありがとうございます。』
社長 : 『とりあえず、一筆だけ交わしておこうよ』
さて、この場合どうしましょうか?
今から回収しようとしているのは自社の商品ではありませんので、
社長の「一筆」はありがたい話です。
こちらとしても何らかの書面があれば後から、
『勝手に持って行かれた!』
と言われなくて済みます。
【代物弁済】 (念書書式)
100万円の売掛金が残っていた場合で考えてみましょう。
代物弁済はその法的な性格上、
持って帰る商品によっていくらの債権が消滅するかを合意する必要があります。
ここが代物弁済の厄介な点です。
緊迫した状況で、この商品がいくらで売れるかを考えいる余裕はないはずです。
仮に全額を消滅させると決めたとしましょう。
後になって40万円でしか売れなかったとしても、100万円の債権は全額消滅しています。
【譲渡担保】 (念書書式)
一方、譲渡担保であれば代物弁済のようなことは起こりません。
その商品が40万円でしか売れなかった場合には、
残りの60万円の売掛債権で破産手続等に参加することができます。
特別な事情がないのであれば、譲渡担保契約の形の一筆を交わせばいいと思います。
※自社以外の商品を持ち帰った場合には、後日、
詐害行為として取消訴訟を起こされる可能性はあります。
(実務としてはまれですが・・・)
このあたりは顧問弁護士さん等にご相談ください。
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