取引先が倒産(あるいは倒産寸前)の場合に真っ先に頭に浮かぶのは、商品の引揚げではないでしょうか?
出荷した商品が取引先の店舗や倉庫にまだ眠っている。しかも、売掛金が回収できる見込みはほとんどない。そうとなれば、トラックを飛ばして納入した商品を引揚げに行きたくなるのは、当然の人情です。
しかし! 商品の引揚げには、注意しなければいけない点があります。
①黙って商品を引揚げると窃盗罪で逮捕されます!
倒産情報を掴んで、取引先へ飛んでいったら先週納品した商品が置いてあったとしましょう。
「そんなの持って帰って当然だろう。
指をくわえていたら、他の債権者に持っていかれちゃうよ!
取引先は倒産したんだからいろいろ言う資格なんてあるもんか!」
誰もがそう考えると思います。
でも、法律では一筋縄ではいきません。
倒産者にいったん納入した商品の所有権は倒産者にあります。
それを代金の支払がないからといって無断で持ち帰ると窃盗罪に問われる可能性があります。
くれぐれも無断で商品を引揚げること避けなければなりません。
②詐害行為として後で破産管財人から返還させられるかも?!
破産管財人は破産者の財産を全債権者に平等・公平に分配する義務を負っています。
債権者が抜駆け的に行った回収行為に対しては、否認権を行使して争ってくる可能性があります。
そうなると苦労して商品を引揚げても元も子もなくなりますよね。
| 商品の引揚げ